テドン河の西で、ぼくたち四人は船から降ろしてもらった。
案の定、そこには小さな村があり、家々や店から明かりが漏れていた。アッサラームのような歓楽街ならともかく、夜遅いというのに、どの店も開いているのが不思議な気がする。
こちらを気をする者は、誰一人いない。そんな中、村長だという老人に声をかけられた。宿に困っていると思ったのだろう。今夜泊まっていくようにと、自分の家に招いてくれた。
村一番の旧家だという屋敷は、立派なたたずまいだった。けれど、村長の顔はやせこけて青白い。魔物の心配はないのか尋ねても、曖昧に微笑するばかり。
ぼくたちがバラモス討伐の旅をしているのだと話すと、村長は、魔王の城へ行くには、六つのオーブが必要だと教えてくれた。オーブは一つではなく、六つ。
全てのオーブを集めた時、伝説の不死鳥ラーミアが蘇る。ラーミアのみが、魔の城に辿り着けるのだという。
「ラーミアは天界の生き物で、精霊神ルビスのしもべ。六つのオーブを手に入れたら、最南の島レイアムランドに行くとよいでしょう。そこで、ラーミアは蘇ります」
(……ルビス?)
村長が告げた名に、どうしてか、ぼくは胸の奥が痛むのを感じた。知らない名前のはずなのに。
この村も村長も、どことなく雰囲気がおかしい。魔王の事をよく知っている様子だが、こちらから質問すると、はぐらかされる。何もかもが謎めいていた。
食事を終え、休むための部屋に案内されても、気持ちが落ち着かなかった。ぼくだけでなく、仲間たちも同じらしい。
ふと窓から外を見ると、屋敷の裏に、小さな四角い建物が闇の中にほの白く浮かび上がっていた。物置、いや、あれは牢屋だ。
なぜ、そんなものがあるのだろう。
